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zoom RSS 琵琶法師が支えた平家物語

<<   作成日時 : 2016/03/30 21:44   >>

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 先般 或る歴史講演会で平家物語に絡む琵琶法師の話があった。 講師の兵藤先生の話では、琵琶法師は 1996年 (H8年) に最後の一人が亡くなり今はもう居ないと云う。 琵琶法師と云えば 13世紀以来、平価物語の演唱とは切っても切れない関係にあったが、実はそれ以前にも管弦を弾く琵琶法師は居た。 ... 蝉丸、諸説あって素性はハッキリしないが、彼こそが琵琶法師の元祖である、今昔物語に載る 朝廷の管弦の名手だった源博雅朝臣との話から 10世紀頃の人と推定されている。 その蝉丸が住んでいたのは、現在の国道一号線沿いを走る京阪電気鉄道の大谷駅付近の 「逢坂の関」 と 「蝉丸神社」 の在る辺りかと思われる。 そこは昔は山城と近江の国境付近で畿内と畿外の境界だった。 現在は名神高速道の蝉丸トンネルの真上の逢坂山である。   百人一首には....、 「 これやこの行くも帰るも別れつつ 知るも知らぬもあふさかの関 」  蝉丸、 が載る。

 平家物語は、1258年に平家が壇ノ浦で滅びた後、琵琶法師達によって口承されてきた 「鎮魂と戦の物語」 であったが、百年後の室町時代の 1371年 (応安4年) に編集、正本化されて覚一本として後世に伝わったもので、文章は和漢混交文で書かれている。 ... 内容は、清盛が太政大臣に就き平家が栄華を極めた時代から一門が壇ノ浦に沈むまでの 約 20年間の出来事が中心で、物語は一貫して盛者必衰の理と敗者の鎮魂を描いたもので登場人物に勝者はいない。 ... 奈良時代に成立した古事記や日本書紀も代々口承されてきた事項を後に再編集して正本化して成立した歴史本である。 後年、平家物語も同じような道を辿るから歴史は面白い。

 鎌倉時代には宗教者でもあった琵琶法師は、語り物の 「平治・保元・平家 ... 」 等を持ち芸とし誰もが曲を諳 ( そら) んじていたが、中でも平家ものに人気があった。 平家の滅亡に際して犠牲となった女性たちの哀れさを歌った鎮魂の物語や 奇を突く様な源平の戦の数々で物語は展開するが、京の大地震の状況など一部には方丈記 (1212年・建暦2年 ) から引用した個所も散見される。 ... 13世紀の一時期には50通りも有ったとされる口承の平家物語だが、内容の伴わないものは淘汰され次第に格調の高い物語へと脱皮していく。 従って、平家物語は単一の作者が創作したものではない。 後年、この口承されてきた物語を文書化して 14世紀に正本 (証本) に書き上げたのが一方流の覚一であった。 覚一は南北朝時代の平家琵琶の奏者で足利尊氏の従弟、明石を領していたが中年期に失明して後に盲人の座を統括する惣検校となる。 現在使われている平家物語の本は14世紀に正本化された この覚一本、教科書も出版物もすべてこの本に統一されている。

 ところが、覚一が著し一門の門外不出とした筈の正本 「平家物語」 は、彼の孫弟子の慶一の時代の 14世紀の後半に突如 時の権力者の足利殿 (足利義満?) に献上される。 これが権力側からの圧力に依るものか或いは、盲人衆を束ねる当道座に地位保全との引き換えだったのかは 分からない。 だが、源氏直系の足利氏側にとっては、平家衰亡の物語は裏を返せば 源氏の起源・創設を明かす為の物語であった。 源氏の創立神話となった この物語は、以後の武家政権にとっては格好の物語であり、源平での政権交代史の中で格別の意味を持つ様になる。 ... 日本の武家政治は平安時代末期の平清盛に始まり、源頼朝から、 ⇒ 北条 (平氏系) ・足利 (源氏) ・ 織田 (平氏系) ・ 徳川 (源氏系) と続くが、結果的に これは源氏と平氏系が交互に幕府を開き政権を担ってきた歴史でもある。

 徳川も平家物語を源氏将軍家創立の神話と位置づけ、平曲 (平家物語奏曲) を式楽と定め、同時に琵琶法師集団である当道座の再編をも推し進めた。 この結果、幕府や大藩に所属した当道座幹部の検校クラスは禄を得て厚遇されたが、下層の一般盲人は、昔からの琵琶を三味線や琴に持ち替え、或いは按摩や鍼灸を業として生活をするコトに。 しかも身分は、江戸時代特有の階級だった 「 士農工商 」 の更に下の賎民クラスへの組み入れに? ...勿論、当道座の上層部は琵琶法師の非賎民化を求めて奔走してはいたが...。 かっては琵琶を弾き 「平治・保元・平家 」 の物語を演唱し、宗教祭祀にも携わってきた琵琶法師は、江戸時代の 16世紀後半から 散楽の三味線音楽や浄瑠璃など、新しい楽器音楽に新天地を求めて次第に消えていった。 ... それでも九州地方の琵琶法師たちは この流れに反抗して近年に至るまで琵琶弾きに徹した。

 参考書 :
兵藤裕己   琵琶法師   岩波新書

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