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zoom RSS 剣法と刀

<<   作成日時 : 2016/10/31 20:17   >>

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  剣や槍などの武器がムラやクニにとって必需品になるのは弥生時代以降のコト、その遠因は人口増にあった。 日本列島の人口の推移を見ると、縄文時代の後期が 8万人、米作の普及が進んだ弥生時代が 60万人、続く奈良時代 7世紀の人口は 450万人、12〜16世紀 鎌倉〜室町時代には 600万人へと着実に増加している。 人が増えれば、食糧確保の為に農地や水源を巡っての争いが増え、富の格差を巡っての戦いが起きる。 ... 昔から戦場での主要な武器は弓と槍であり、刀剣は補助的な武器でしかなかった。 しかも 弥生時代中期までの刀剣は磨製の石剣でしかなかった。 弥生時代の後期〜古墳時代になって漸く 大陸から青銅や鉄が伝来して来て金属製の刀剣が作れる様になる。 その後 刀剣は機能的にも工夫されて、突き刺す両刃の剣は片刃に変わり鎬 (しのぎ)と反りを付けて折れ難い剣へと進化する。 だが、それでも刀剣は所詮は飾り物、互い戦以外の集団戦では有効な武器ではなかった。

 当然ながら、刀剣の形状が変われば使い方、即ち相手を倒す為の術も大きく変わる。 我が国では既に 5世紀の古墳時代には鹿島神宮の神官 7人が関東七流の剣法を創っている。 その後 剣法の奥義を極めようと各地で続々と剣の流派が台頭するが、互いに競い合う様になったのは室町時代の初期からである。 ...鎌倉時代までの戦闘は、緒戦は馬上の騎射戦で始まり、後半から槍・薙刀を使う接近戦だったので、刀剣は補助的な役割しか果たせなかった。 鎌倉時代の太刀は、お飾りで抜くのに手間が掛かり戦場では実践的ではなかった。 だが、室町時代に入り実用的で軽い 「打ち刀」 が作られると武器としての刀の価値は向上し、より効果的な剣の使用法が研究される様になる。

 室町時代の初期に相馬義元が剣術流派 「念流」 を創始、続いて 「香取神道流」、「陰流」、「中条流」 が次々と名乗りを挙げた。 室町時代から〜江戸時代に掛けて全国で活躍した流派の殆どは上記の 4派から派生した流派である。 例えば、室町初期に創始した 「香取神道流」からは室町末期に塚原卜伝が 「鹿島新当流」を旗揚げして室町幕府の足利義輝や武田信玄、今川義元に指南して秘伝を授けてた。 また、「陰流」 からは、室町末期に上泉伊勢守信綱を祖とする 「新陰流」 が誕生したが、上泉自身は新陰流を興すに際して念流、陰流、新道流を参考にしたと述べている。 この新陰流から江戸時代には 「柳生新陰流」 が生まれている。 「中条流」 は中条長秀が念流をヒントに興した流派で、足利義満に指南した。 小太刀で有名な 「冨田流」 もこの派から派生したし、佐々木小次郎の秘剣 ツバメ返しの 「巌流」 、江戸時代に伊藤一刀斎が興した 「一刀流」、他に 「小野派一刀流」 や 千葉周作の 「北辰一刀流」 も中条流の流れを汲む一派である。

 異色なのは念流の流れを汲む 「真庭念流」。 坂口安吾は、「剣法と云うのは元来 貴人に依存して来たもので、剣士は将軍や大名に召し抱えられるコトを目標に修行に励んだものである。 所が、ここに只一つ在野の剣法と云うものがあった。 それが真庭念流だ」 と書いている。 真庭の地は、群馬県の高崎から上信電鉄に乗って六つ目の駅、当地には現在も坂口安吾が云った在野剣法の樋口道場がある。 当派は室町時代中期に樋口兼重が興した流派で、兼重は郷士としてこの地に居を構えて百姓仕事の傍ら名利を求めず ただ剣法一筋に生きた。 数百年を経た今も真庭では古典的 な剣法、剣技が盛んである。

 総じて戦の多かった室町時代から江戸時代初期に掛けての剣法は、二人だけの互い戦で相手を倒す為の実践的な剣術であった。 だが、映画や講談で有名な剣豪の荒木又右エ門は、鍵屋の辻での決闘で 36 人切り と云うのがあるが、実際に切り殺せたのは 2人だけで 3人目とは木刀で打ち合い 逆に荒木の名刀の方が折れて終わっている。 昭和時代の 1940年 (S15年) 刊の日本陸軍の 「軍刀の操作及び試し切り」 の記事では、「剣道の刀法では僅かに敵の衣服を裂き皮膚を傷つける程度の効果を得るに止まる...」 と刀剣の実戦での効果を低く評価している。 これ等を見る限りでは、刀剣は多勢との戦闘には適さず、実態はお飾りで受身の武器でしかなかった様だ。 ... 戦乱の無い時代が続いた江戸中期以降の剣法は、竹刀と防具を身に着けて競う剣道へと変わる。 1945年 (S20年) の敗戦で GHQ に依って禁止された剣道も講和条約発効後には解禁され、今は昔と全く違うスポーツ剣道として生きている....。

 参考書 :
牧秀彦    剣豪その流派と名刀   光文社
坂口安吾   真庭念流のこと      青空文庫

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