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zoom RSS 老化と寿命

<<   作成日時 : 2017/06/15 00:27   >>

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 ... 「人生50年の究り、それさえ我には余りたるに、ましてや浮世の月 見過ごしにけり 末2年 」、これは江戸時代に 52才で逝った 井原西鶴の辞世の言葉である。 江戸時代を通じて 「人生50年」 は一般の人々にも手の届くところにあったが、実際の平均寿命は 45才だった。 ... 時代ごとの日本人の推定平均寿命は、縄文時代後期で 31才、古墳時代 31才、... 室町時代でもまだ 33才、戦がなく安定して米がとれる様になった江戸時代で漸く 45才、意外に伸びてないのが大正末期の 46才、戦死者が いなくなった敗戦後の昭和22年で 51才、環境に恵まれ、医療の進歩が著しい平成19年で漸く 82才である。

 江戸時代の平均寿命は 45才、稀に百才を超えた人も居たが、80才を超えた人なら 260年の間 に かなりいた筈である。 例えば、松尾芭蕉は 50才で逝ったが、葛飾北斎は 90才、貝原益軒や杉田玄白は 85才だった。 医師の玄白は長寿こそが全ての幸せの基と語ったが、自著の 「昴鉄独語 ⇒ ぼうてつ... 」 では、老いて現れる目・耳・歯の不具合を挙げ自身 長生きの辛さを嘆いた。 尤も、彼は若狭小浜藩の 400石取の藩医だったので一般人とは違い生活に不自由は無かったが、晩年は病に苦しんだ。 明治初期に来日した外国人が日本には貧乏人は居るが貧困は無いと本に書いているが、その前の江戸時代後半も恐らく同様だったと思う。 現代人の定年は 60〜65 才だが、江戸時代の金持ちは 45〜50 才で隠居をした。 一方で、一般の町人や農民、職人は大家族だったコトもあり 老人の貧乏はあまり表に出ていない。

 自然界では、老体は種の保存の為には無用の存在である。 野生の動物に老体は居ない。 野生動物が老化して、足が悪くなり老眼が進めば餌を捕り難くなり、逆に他の動物に襲われて終わる、これが自然界の掟でもある。 また 野生の動物の場合は、自然界に存在する獲物の量は常時限られているので、老体が増え続ければ全体の分け前が減り、種は絶滅へと向かう。 そんな中で人間だけが生物としての寿命を終えても、なお医療や生活環境の向上に恵まれてその後も 人工の生命体と化して長生きをしている。 ... 日本では 65才以上の高齢化率は全人口の 30%、人数では 3400万人、その内 1010万人が高血圧症の治療を受けている。 この費用は 1兆9千億円/ 年、このお陰で脳疾患や心臓疾患による死亡率は大きく下がり 老体の延命化、人工生命体化が進行し続けている。 他の疾患の患者の場合も同様である。

 哺乳類では生涯の心臓の鼓動回数は 15〜23 億回、研究者により数値に差はあるが 自然界の動物はこの回数を打ち終えた時点で生物的寿命を終える。 仮に人間の生涯の心臓鼓動回数を 20億回とすれば、1分間の拍動数が 60 回の人の自然死年齢は 63 才、同じく 70 回なら 51才と云う計算になる、これが人間の生物としての寿命の限度である。 40才台を過ぎれば白髪が増え、閉経ありで、誰しも老いの始まりを実感する。... 心臓が鼓動する時間を物理的時間で捉えれば、心拍数が人間よりも速い小動物は寿命が短く、より大きな動物の心拍数はユックリなので長命になる。 しかし、心臓が鼓動する時間を生理的時間で捉えれば、小さな動物も大きな動物も生物寿命は同じになる。 ... 現代の老人も、この世に仮に歯科医も眼科医も無く、風邪薬も腹痛薬も抗生物質も無かったとしたら生物としての時間 (自然死年齢) を大きく超えて生き永らえる コトは極めて困難だったに違いない。

 常識的には子供時代の時間は速く 老人の時間はユックリの筈。 ... なのに老年になってまず感じるのは月日の流れの速いコト、気が付けばカレンダーの日々がアッと云う間に通り過ぎて行くのに驚く。 この現象は一体どういうことか? ... ジャネーの法則は、既に 19世紀に この現象を心理学的側面から解明しているが、最近の脳科学者は、子供は新しいもの全てが新鮮に見えるので時間が経つのを遅く感じるが、大人は周りの世界は既に見慣れているので関心は薄く ハッと気づいたら時間だけが過ぎ去っていたと感じるからと云う。 老幼両者が感じる時間差は、結局は老人の時間の感じ方の問題でしかなく、 浦島太郎と同じ経験をしているだけと言うコトか...。

 江戸時代の 「田家茶話六老之図」 に老人を風刺した「狂歌」 が載る。 何時の時代にも年寄りは有難い存在であると同時に、周りから見れば本当は 面倒くさい存在だった。
 以下は狂歌の... 抜粋である。

 「しわが寄る、背はちぢみ、頭は禿げる、... 。」
 「手はふるる、耳は聞こえず、足はふらつく、......。 」
 「身に負うは、頭巾襟巻き、杖、眼鏡、 ......。      」
 「くどくなる、愚痴っぽくなる、気短になる、.... 。   」
 「聞きたがる、でしゃばりたがる、 ... 。       」
 「またしても同じ話に、 ... だから人は嫌がる。    」

 参考書 :
本川達雄   生物学的文明論    新潮社
酒井シヅ    病が語る日本史    講談社

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