奈良にも火山が..?

 京都経由で奈良に入るには、時間的には近鉄だが..途中下車や風景を楽しみながらのノンビリ旅をと云うなら断然 JRの関西線である。

 西南日本を縦断する活断層の中央構造線は、紀伊半島では和歌山市と鳥羽市を結ぶ線を通るが、ここ奈良県内では吉野から和歌山までほぼ一直線に流れる吉野川 (下流は紀ノ川)の北縁部分を走る。 その為か太古の (中新世) の奈良には火山があり噴火もあった。 噴火した火山は、奈良盆地西方の二上山 (517m) であり東方では室生火山である。 都祁 (つげ)や室生から高見山地にかけては、火砕流による熔結凝灰岩が広く分布している。 もっと身近では、修学旅行のバスが走る名勝大和三山で、その内の畝傍山 (199m)、耳成山 (140m) は火山であり、唯一つ 天香具山だけが多武峰山系の尾根続きが侵食されて残った普通の山である。 何れの火山も旧の教科書に従えば死火山である。 しかし中央構造線と直交する西の県境の生駒山地から 金剛山地の間の断層線の直下には今なお重力異常が認められる。画像

 唐招提寺の土塀沿いに北へ2kmほど歩くと11代 垂仁天皇の御陵がある、菅原伏見東陵と書いてあるが宝来山古墳と云った方が分りやすい。 近鉄橿原線から見る周濠には長さ 227mの前方後円墳が浮かんでいる様に見える。 濠の南東の小さな島は田道間守(たじまもり) の墓と伝えられる。 昔の教科書には、彼は天皇の命を受けて常世の国 (済州島?)へ不老長寿の果実を探しに出かけた。 さて何年か経って帰国すると既に天皇は崩御した後で悲しみにくれた、...とある。 小学唱歌にも...「おはさぬ君の陵(みささぎ)に泣いて帰らぬ...云々」の歌があった。 このとき彼が常世から持ち帰った香果(みかん)は 日本書紀の垂仁天皇の項に 「非時の香果、八笠八縵 (八ほこ八かけ)」と載るが如何にも難しい言葉だ...。

 何時の頃だったか、127代目の薬師寺管長だった高田後胤氏が法相宗薬師寺の僧侶は死んでも自分の宗派では葬式はやらない、葬式は他の (某)宗派の坊さんに頼む...と話していた。 1000年以上もの間、只管 仏教理論の研究?..のみに没頭していた南都六宗ならではのコトであろう。 この寺には檀家制度が無く、1945年の農地解放時には5ha 余の寺領を小作人に手放してしまい財政的にも荒廃していた。 しかし戦後の復興と共に財政は回復し西塔や金堂などの再建が叶った。 そう云えば 薬師寺門前の小奇麗なレストランで昼食を摂った時のコト、運ばれてきた吸い物の椀の蓋が開かない...何人もの調理の職人さんが出て来て色々と試みたが遂に蓋は取れずで 皆で大笑いしたコトがある。 今では そんな記憶ばかりが残る...。

 飛鳥には古代の石造物が数多く残る。 数多ある中での傑作の一つは「亀石」 であろう。 橘寺へ向う途中にあったこの石像は長さ4m、重量40t と以外に大きかった。 亀石って何..?については諸説有るが、しかし如何見ても 映画 「ローマの休日」 に出てくる石像 「真実の口」 に見る様な遊び心は持ち合わせない顔つきだ。 この像は神でも仏でもない不思議な存在である。 亀石の石は同じ明日香村にある石舞台古墳の積み石等と同じで、この付近で採れる花崗岩を加工した石造物である。 この辺りは 中央構造線の内帯に当り 実際に県西部の金剛山から奈良市東方の北椿尾方面に掛けての各所で領家花崗岩や片麻岩が露出していて、昔から石材として利用されていた。 これ等の岩石の生成年代は、凡そ8000万年前の白亜紀末とされる。画像

 柳生街道は少し歩いただけだが石造仏群には四季夫々に風情がありそう。 石造仏は奈良時代後期以降に彫られたもので、石材は黒色の輝石安山岩である。 これは中新世 (2000万年前)の瀬戸内火山の時代に火成活動を伴いながら生成した奈良市東方の若草山や春日山で見られる三笠山安山岩であり、三笠層群に属する。 一方の県の西側の火山である二上山でも やはり安山岩質岩が卓越していて、サヌカイトや火砕流による凝灰岩等を産出する。 特にサヌカイト (古銅輝石安山岩)は、西日本では石器時代から弥生時代に掛けて 生活用のナイフや矢じり、石琴などに加工して使われていた。 対照的にこの時代の東日本では、同じ目的のために玄武岩起源の黒曜石が使われていた、...何れも火山の恩恵に肖るものである。

 参考書 :
理科年表読本・日本列島の地質     丸善(株)
杉崎忠久   大和の生き物・奈良県の地形と地質

写 真 :
飛鳥の亀石 ・ 柳生街道の石仏

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