「多宗教雑感」から

 一年ほど前に多神教に関する一文を Blogに載せた所、友人の町田君からこれに関する感想文が送られてきた。 ...ああ、こういう見方も有るのかなと思い、7枚から成る原稿の一部を この稿で披露するコトにした...。 勿論、本人には承諾してもらっている。

 曰く、仏教、キリスト教など数多の宗教、宗派が共存する日本には、古来よりさしたる宗教的対立はなく、今もなお 次々と新しい教団が宗教法人として新規に認可され続けている 日本はそんな国である。 そこには宗教法人の税金優遇策の下、互いに傷つけあうコトもなく息長く共存している構図がある。 それらは信仰の自由を保障する憲法があるからと云えばそれまでだが...。 この国では無神論者をも含めて皆共に既存の宗教を形式的に習慣として容認し生活の中に受け入れてきた。 人々は、基本的には個人主義なのに兎角 穏便を好み事なかれ主義で、信念は希薄で行動は曖昧である。 ...それなのに今回の大災害への対応では秩序を持った民族だとして諸外国からは一定の評価を受けた。 それは宗教心や武士道等の倫理観の幾許かが 人の心に残っていたからとも云えるが、実態は左程のものではない。 ...心の底では近代エゴの流れをしっかり身に着けている我々は、誠に不思議な民族である。

 そういう我が家でも表向きは全員が無神論者だが、折々の祭事は神道で行う。 過日、実家の近くに神葬墓地を購入したが、家人はあまり乗り気ではない様子、皆いま流行の自然葬の方が良いらしい。 ...そうかと言って家の中には宗教上の争いがある訳ではない。 ...日本の様に多種類の宗教が混在する国では後発の宗教は、其の儘では己の存在感を発揮できない。 過去の一時期には新信者勧誘の盛んな時期もあった。 ...新規の布教では、教条的・神秘的な何かを強調しなければ社会へのインパクト感が伝わらず信者が集まらなかった。 所が最近は大規模教団も含めて熱狂的な信者勧誘は影を潜めている。 原因は、信者らの高齢化や新規入信者の頭打ち感からとも云えるが、裏には宗門の経済的な裕福感も見え隠れする。

 近くの図書館に行くと宗教関係の書物の多いのには驚く。 そんな中で最近一種のブームなのか神道関係の本がよく読まれていると云う。 ...神道の障りの部分を一寸窺ってみよう、...先ず神道は発生の時期は不明で未だに定説もない。 また他の宗教の様に開祖や教典に相当するものも無い、考えられるのは自然への畏敬だけであろう。 ...いま在る神社は人々が定住する様になってから自然や先祖を祀神として、また共同体の鎮守として建立したもので、勢力の拡大に伴い各地に末社として広がったもの...、従って祀神はそれぞれに異なる。 明治時代には東郷神社や乃木神社が建てられたが、これ等はもし他の時代だったら違った形式で祀られていたかも知れない。 この様に見てくると神道が多神教なのは理解できるが、祀る神も時代や背景により夫々だったコトが分かる。

 氏神を祀る祭祀は鎮魂であり、大和王権の祭祀は政治にまつわる呪術だった。 弥生から古墳時代にいたる自然崇拝の時代を経て、奈良時代の神道が概ね三輪山に始まるとする説が我々には最も分かり易い。 神道の輪郭がハッキリして来たのはこの頃である。 ...だが7世紀、日本に仏教が入ってくると神と仏が結びつき神仏混淆(習合)が始まる。 外来の仏教は神道に拠ることで国内布教に弾みをつけた。 ...神仏同体説の下、日本在来の神道と大らかな大乗仏教は一躍国教的な地位を得る。 ...明治時代に至り国家権力の下、神仏分離が行われるまでの1000年の間、神仏習合が続いていた...。 もし神道に固有の開祖が居り基本の教典があり、また仏教が小乗仏教であれば、神仏習合が成立したかどうかは分からない。 神仏習合が日本の文化に与えた影響は大きい。 ...今も残る、葬式時のお通夜は、日本古来の自然観に由来する縄文タイプの葬送の儀式であり、翌日の本葬は大乗仏教型の葬儀である。 ...これも習合の名残である。

 伊豆七島の神津島には花の百名山の天上山(570m) がある。 登ると頂上は一面平坦で遠く伊豆諸島や本州の山並みが望まれる絶景の地である。 島には この平坦な山頂は、伊豆諸島の神々が集合する天上だったと云う伝説がある。 ...日向の国の高天原に始まる、祝詞に書かれた高天原も天上の世界を意味し、日本書紀では天照大神は、高天原に在って最初に日本国を統治したと書かれている。 天照とは、日向・奈良などの国々、即ち、天上の世界を治めるの意味である。 ...神代記・日本書紀には天照を日の神と記してある。 この表現は太陽信仰を意味するものである。 ...この時代以前、日本とは歴史区分が異なるが、世界史の新石器時代には古代のエジプト、イングランドなど多くの民族が太陽信仰であった。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのトラックバック