富士火山の噴火

 東日本に住む者にとって大地震後の 次の関心事は、何時どの火山が噴火するのか、噴火の規模は、災害の可能性は? ... 等である。 ... 火山噴火の直接の原因は、地震と同じくプレート運動による加圧であり、地下深くのマグマ溜まりが プレートの圧力を受けて噴き出る現象が噴火である。 ... 噴火時に火口が開くと同時に地中の圧力が下がる、... その時 マグマが発泡して体積は増え、結果として大量の噴出物を上空に噴き上げる、逆に 発泡が少ないと溶岩のままで流れ出す。 ここでマグマを加圧するプレートとは、日本列島の下に潜り込むフィリピン海プレートであり太平洋プレートのコトである。

 火山噴火は地震と連動する。 ... 東日本大地震の前には大島の三原山や三宅島が大噴火をした、だが今回は地震後に必ずある筈の大型の火山噴火は未だない。 ... しかし、よく注意して見ると日本列島に 110ヶ所ある火山のうち、既に幾つかの火山には小さな異変が起きている。 気象庁に依れば、2014年中に異常が認められた火山は本州では、北から吾妻山、蔵王山、草津白根山、富士山、御嶽山、三原山等であり、九州では阿蘇山、九重山、霧島山系、桜島等である。 ... 2014年に噴火した御嶽山の火山活動は、本格的なマグマ噴火ではなく水蒸気爆発だった。 この後の火山活動について気象庁は、 ① そのまま終息する、 ② 何回かの水蒸気爆発の後に終息する、 ③ 本格的なマグマ噴火に移行する ... の何れかだとしている。

 火山噴火には、火山からマグマを噴きだす 「マグマ噴火」 とマグマで温められた水が水蒸気となって噴き出す 「水蒸気爆発」、中間の 「マグマ水蒸気噴火」 の三通りがある。 ... 出来ればこの噴火を予知したいのだが、予知は地震の予知同様に難しい。 三原山や阿蘇の中岳では上から火口底を覗けるのでマグマの上下動を目視できるが、それでも噴火の時期はなかなか分からない。 現在は、見えない地下深くのマグマの動きを 低周波地震の観測で察知している。 火山周辺で低周波地震が頻発すれば地下のマグマに異変が起きているという訳だ。 しかし、その動きが噴火に結び付くのか、何時噴火するのかは中々分からない。 ... 過去に唯一、噴火を予測できたのは 2000年に噴火した北海道の有珠山だが、これは観測体制を整えて この火山の噴火の特徴を把握していたからである。

 関東平野を取り巻く火山のうち、噴火に依り 大きな災害を齎すと予想される火山は富士山である。 ... 現在、我々が見る富士山は、古い順に先小御岳火山、小御岳火山、古富士火山、新富士火山 (現在) の 4つの火山が積み重なって出来ている火山である。 一番古い先小御岳火山は数十万年前に、最も新しい現在の新富士火山は 1万3千年前に活動を始めた火山である。 富士山はこの様に複雑な山体なので 過去にどの位の火山噴出物を噴出したのかは把握できない、だが 例えば現在関東南部を覆っている富士山起源とも云われている立川ローム層の降灰量を見てみるだけでも、富士山の齎す脅威には驚かされる。 更に、2500年前の弥生時代には山体の東側が崩落して、厚さ 50m もの泥流が発生 その先端は30 ㎞先の三島市にまで到達した。 これが最新の御殿場泥流である、JR御殿場線の山北駅付近には今尚 5m高の土砂が残る。 ... 富士山の怖さは噴火や火山性地震だけではないのだ。

 宝永地震の 49日後に発生した富士山の宝永噴火 (1707年) は大規模なプリニー式噴火だった。 直径 1300mの火口は今も東斜面の 6合目付近に在る、この時の噴火は断続的に 15日間続いた。 火山噴出物は主に東方へ 最大 100kmほど飛散し、江戸にも降灰があった。 この時の火山噴出物の総量を 町田洋氏は 0. 85 k㎥ と算定している。 ... その前の 864年、平安時代 (貞観6年) に起きた貞観大噴火は 割れ目噴火だった。 噴火は 2ヵ月間続き 溶岩流は山の北西麓を下り、富士五湖の精進湖と西湖をつくった。 富士スバルラインの 3合目から精進口登山道を下ると 2合目付近の長尾山辺りから 当時の青木ヶ原溶岩を観察できる。 この時の火山噴出物の総量は 1. 2 k㎥ と推定されている。 ... この噴火の 5年後の 869年 に 東北地方の太平洋岸を震源とする M 8.6 の貞観地震と貞観大津波が発生、2011年と同様に東北の各地が被災した。

 さて、富士山の次なる噴火は、宝永の噴火タイプか、或いは貞観の溶岩流タイプか、 それとも全く新しい第三のタイプなのか? ... 噴火のタイプにより関東平野の被害度は大きく変わる。 ... 更に、箱根火山と大井松田断層の関係もある、 箱根山だって活火山だと云うコトを忘れてはならないし、旧制度では死火山だった御嶽山がいきなり 警戒 レベル3 の活火山に早変わりした例もある。 日本列島と島弧で繋がるカムチャッカ半島のベズイミアニ火山は、地震の後 1952年に 1000年ぶりに噴火している。 ... 噴火は火山で起きるだけではない、この国では 昭和新山の様に畑の中に或る日突然 新しい火山が現れる危険性だって皆無ではないのだ。

 参考書 :
気象庁ホームページ
藤岡・平田共著 日本海の拡大と伊豆弧の衝突  有隣堂
町田 洋      火山灰は語る           蒼樹書房

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