貿易戦争から通貨戦争へ

米中の貿易戦争はこの 2月でそろそろ 1年になる。 この戦争の起因はアメリカ側の膨大な貿易赤字にあった。 2018年 1~11 月までのアメリカの貿易赤字の総額は 8061 億ドル ⇒ 89兆円、そのうち対中貿易の赤字は 3823億ドルで 50%を占める。 更に、米中の貿易比は 輸入で4:1、輸出で 1:4 と物量でも不均衡の幅は大きい。 アメリカ側から見ればその他にも知的財産権侵害の問題や主要産業である通信・電力・石油・軍需...等々 への市場開放や(外資導入)の問題もある。 ...貿易では一方が大赤字であれば相手方は相応の黒字を得ている、とすれば赤字側は輸入の規制か関税のアップで対抗するしかない。 世界で 1位のアメリカと 2位の中国との貿易戦争は或る意味 両国間の通貨戦争でもあり、この戦争どちらが勝つのか、何時まで続くのかは未だ分からない。

 現在、貿易収支の大幅黒字国は、日本・中国・ドイツ・台湾・韓国等であるが、アメリカから見れば過去に外国為替市場への市場介入の前科がある国ばかりであり、アメリカは尚もこれらの国を為替操作の監視国リストに載せて監視を続けている。 ...貿易収支は輸出ー輸入= 、で結果がプラスであれば貿易は黒字、マイナスなら赤字になり、この結果は一国の経済に大きく影響する。 世界では各国とも表面的には自由貿易を標榜するが、裏では外国為替相場に介入して自国に有利なように為替操作を行う。 日本も過去には大幅な円高を解消するために円売りを行った時代もあった、又その遥か前には大幅な貿易黒字を計上したために、逆に大きな貿易赤字に陥ったアメリカでジャパン・バッシングを受け、日本製品の不買運動にまで発展した歴史もある。

 過去には日本にも知的財産権侵害の問題や外資への市場開放の問題があった。 古いので当時の記憶は定かではないが、1980年代の初めに I B M 産業スパイ事件があった。 この紛争はアメリカのコンピュータ製造メーカーの I B M 社と日本の互換機メーカーの富士通と日立SS との間に起きた事件で、確かこの時には日立と三菱電機の社員数名がスパイ容疑で現地で逮捕されたと記憶している。 市場開放についても外資法がありながら 実際には外国資本の上陸を阻んでいた。 当時このような外資規制は何処の国にもあった法規制で、或る時わたしも依頼されて外国で現地法人の設立について調査したことが有った。 だが現実にはその国には外圧もあり外資法は制定されていたものの、現実にはその下位の施行法や施行規則で事実上 外資の参入を拒んでいた。 現在では西側先進国には、既にそのような障害は無いが、政治経済体制の異なる国には未だに規制が掛けられている場合も少なくない。

 自国の貿易収支を有利に導く為に国家が外国為替市場に直接介入して為替を操作する方策は、最近ではアメリカから為替操作監視国に名を挙げられている諸国は現在は直接介入は行っていない。 その代わり例えば、国の金融政策・通貨政策の一環として大量の通貨を市場に注入して結果として外国為替相場の操作結果と同じ成果を上げ、貿易収支の黒字化を図っている国もある。 これが一国の通貨政策であれば他国が内政に口を挟む余地は全くない。 だが、国家間には強弱、大小の序列がある。 これに依り強国や大国は相手国に対して為替ではなく、新たに通商についての交渉を要求している、所謂 二国間協定方式での協議である。 注意すべきは二国間協定方式での通商交渉に巻き込まれて、譲歩に譲歩を重ねれば通貨政策の効果は次第に薄れて最終的に貿易戦争に敗北する結果になる。 交渉失敗による損失額は実戦の戦争による損失に匹敵する額にならないとも限らない。 中国の次に来るアメリカとの通商交渉には万全を尽くすべきであろう。

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