バッタにイナゴ

 JR 御徒町駅近くの某ビル内に昆虫缶詰専用の自動販売機 2基が置かれている。 中身は国産、外国産いろいろで一度は食べてみたいもの。 今から7年ほど前にも昆虫食についての関心が高まった時期が有った、趣旨は世界人口100億人の時代を目前に何とかタンパク質を確保しなければと云うコトだったと思う。 それが今回は複数種類の缶詰登場を聞き私も若干驚いた。 今は分からないが何十年か前には渋谷駅近くに信州... と云う店が有り、そこのメニューにイナゴやセミのサナギ、蚕のサナギ、蜂の子の揚げ物...? が並べてあり店も結構賑わっていた。 世界でもそうだが、日本でも1945年の敗戦前後辺りまでは、イナゴや蜂の子などは誰もが食していた。 今では白色人種が昆虫をあまり食べないので日本人も倣って食事が欧化するに従い食べなくなってしまった。 然し乍ら、国連の FAO (...食糧農業機構)の後押しもあって加工した昆虫の食用化は今後
更に 進みそうな気配である。

 2020年、世界は年初よりコロナウイルスの拡散防止に追われ、世間の眼もウイルス防止の方に注目が集まってしまったが、実は蝗害(バッタの害)発生も世界では大きな問題になりつつある。 バッタの大群は、今年の 2月にアフリカ大陸の東部で発生、農作物を食い荒らしながら 紅海を越えてアラビア半島に上陸、次はペルシャ湾を渡ってアジアへと渡り 現在はパキスタンに在って、次は中国の新疆ウイグル地域 或いはインドを窺っている次第。 アフリカ東部で発生したバッタは、2月中に急速に増殖して大群を形成、農作物を食い荒らしながら各地を移動して大きな被害をもたらしている。 蝗害の齎す被害の大きさは例えば 旧約聖書「出エジプト記」にも載る程で、古来より彼の地では蝗害は重大な事件だったことが分かる。

 このバッタの名は「サバクトビバッタ」、大きさは縦が 4~6㎝、重量2gとやや大型のバッタで繁殖力と飛翔力が強いのが特徴でもある。 その年の気候条件に依っては左程に繁殖しない年もあるが、大雨が続き湿度が高く繁殖に適した年には その数は爆発的に殖える。 群れは 60㎞×40㎞ の大きさ程に成長して空を飛び、数も 数億匹以上の大群にまで増えて各地で農作物を食い荒らしながら移動していく。 今回の被災地では 2月以降、 約 2千万人の住民が食糧危機に直面していると云う。 ... 今回のバッタの異常発生の原因は 地球の異常気象、気候の変動、特に 近年インド洋で発生するサイクロンの数の増加に原因があるとされ、現地では地球温暖化との関係も取り沙汰されている。

 昆虫食の本には、このサバクトビバッタも美味で昆虫食の有力候補にあがってはいるが、今回は大群が通過する各国で殺虫剤を散布したコトもあり 薬品に汚染されていて危険なので食料にはならない。 にも拘らず、大群通過後の市場の店舗には若干だが このバッタが並べられている様だ。今回と 場所は違うが、内山昭一さんの本にはこんな話が載る。 即ち1993年 頃、インドシナ半島一帯でタイワンツチイナゴが大発生して主食のトウモロコシ等の農産物に大被害だでた。 その時、農民たちは政府が実施する殺虫剤の散布を拒んだと云う。 何故か? それにはこんな裏事情が有った、即ち その時のトウモロコシの価格は 1㎏ ⇒ 2パーツだったのに対して捕獲したイナゴの価格は 1㎏ ⇒ 50パーツもの高値だったからと云う。 ... 因みに当地のイナゴ料理、獲りたてのイナゴの翅(はね)と足を取り除き、揚げて軽く塩を振りかけて食べる料理は美味と聞く。

 日本にいるイナゴは分類上は、昆虫網の中のバッタ目 イナゴ科に属する、一方の彼の地の サバクトビバッタは バッタ目 バッタ科に属する、何れも大型のトノサマバッタ等と同様に食用になる美味の昆虫と聞く。 現代人は昆虫食にも美味を求めるが、海の無い例えば
信州の様な地域では 昆虫は昔から日々の貴重な蛋白源であった。 ... 将来、増加を続ける地球人にとって、在来の肉や魚類に加えて次に来るのが昆虫(食)なのである。 と云うコトは人類にとって、サバクトビバッタは現在では農作物を荒らしまわる天敵ではあるが、将来的には繁殖力の旺盛なこのバッタは、工場で大量に養殖されて人類の蛋白源として登場して来る可能性が大いに有りうる昆虫なのである。

 人類がアフリカ大陸の東部で誕生して、そこから世界各地へと旅立ったのは今から 20万年前、その一部が日本列島に姿を現したのは 3万年前のコト。 昆虫が地球上に現れたのは人類よりも ずーっと古く 3億年前の石炭紀のころ、当時の地球は現在の地球に比べて未だ酸素濃度が高かったので生物の体格も大きく成長していて、例えばトンボの翅(はね)は 50㎝ もの大きさだった、当然ながらバッタもイナゴも もっともっと大きかったと思う。 ...1900年代初期に15億人だった地球上の人類の数は、今では凡そ 70億人、100億人を超えるのは時間の問題 だ、しかも自然破壊を進めながらの増加である...。 だが、長い地球史を紐解いて見れば、将来的には人類が昆虫に滅ぼされ、或いは ウイルスに滅ぼされることも無いことではない。

     「 街道をキチキチと飛ぶバッタかな   亀城 」 
                                        ( 一部ひらがなをカタカナに書き換えてみました)

 参考書 :

 内山昭一    昆虫食入門    平凡社
 神里達博  バッタの大発生被害  月刊 安心新聞(デジタル朝日より)

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