富士山 いろいろ:

 富士山は日本の山々の中では最高峰。 標高は一般には 3776m で問題ないが、詳しくは 3775.51m である。 近世に入り 富士山は いろいろな人が測量を試みたので標高はその都度変わり、また測量に使われた機器も多種多様だった。 伊能忠敬は1803年に三角法を用いて測量を行い標高を 3928m とした、1826年には シーボルトが六分儀を用いて測量、標高を3793m とした、1860年には クニッピングが気圧計を使って測量し標高を 3729mとし、1880年にはチャプリンが三角測量で標高を 3787mとし、1926年には 陸軍の参謀本部が平板測量と三角測量を行って標高を 3776m と発表した。 現在使われている高度はこの時の数値である。さて、高度を計測するときの底辺の基準地点は東京湾の海面であるが、潮の干満差を考慮して実際には平均値を基準点としていた。 現在、日本の「水準原点」は国会前の庭に設置されている。 三角測量は辺の長さと角度を使って高度を算出する測量法であり、全国各地に設置してある「三角点」は基準点として重要な役割を担っている。 富士山の頂上に設置してある三角点の高度は 3775.51m 、然るに実際の富士山の最高地点は三角点の近くにある岩の上で、その高さは3776.12m と云う。通常表示する標高は 3776m で差し支えない。


 坂の多い東京では 江戸時代から市中に「富士見...」と云う地名が町の其処此処に有った。 富士見とはそこに行けば富士が見える場所のコトであるが、現在では高層の建物が沢山建てられているので、富士見と云う地名は有っても、坂を上った先に富士山が見えるとは限らない。 私の出た小学校は北関東の隅にあり、大きな山に遮られて富士山は見えなかったが、それでも図画の時間には自由作品として富士山を描く子が多かった。 画面に三角の山を描き、雪を乗せて朝日を組み合わせれば何とか絵になったからだ。 古来、富士山を見るときは東側の駿河湾の方から眺める富士が最も美しいとされてきた。 何が美しいのかと云えば、長いすそ野を引く山の全容が把握できて全体のバランスが一望できるからである。 実際の富士山の山の頂角 (山頂の角度)は 120度、しかも頂上から長く引くラインは何とも云えぬ美しいラインをを描いている。 ... 太宰治は「富岳百景」の中で江戸時代の画家達は富士の頂角を、広重は 90度、文晁は84度、北斎は80度で描いたと 記している。 絵は自然の題材をデフォメライズして描くと生き生きとして見えて来るものであるが、彼らの描いた絵は観れば見るほどに富士が迫りくる様に見えてくる。 己の主張する富士を存分に描いた彼らには感服する。


 厳谷小波作詞の小学校唱歌「富士山」に「 ... 富士は日本一の山」と云う件がある。 この日本一の富士山と云う山は一体どの位の大きさ、体積なのか?  早速調べて見たら富士山の山体の大きさは 548km3 で日本列島に立地する火山ではやはり最大の山だった。 他では、例えば北海道の駒ケ岳は14km3、岩手山 52km3、赤城山 100km3、浅間山 75km3、 桜島が 500km3 だった、但し阿蘇山と箱根山には名前の通りの固有の山は無く 一群の山塊を指しているだけなので省いた。 所が、日本にはもっと大きな火山が南の海の深海底に沢山あると云う、即ち 伊豆半島から南へ延びる富士火山帯の伊豆・小笠原・マリアナ弧に沿って長い海底火山列がある。私も伊豆諸島は八丈島までしか行ってないので、その先に関しては全く分からなかったが、実は南の海の北緯25度( 富士山は北緯35度)付近には 北硫黄島火山 3000km3、西ノ島火山 1000km3 などと富士山よりもズーット大きな海底火山が数珠繋ぎに並んでいるコトを知り驚いたものだ。


 活火山である富士山は、約10万年前から活動を始めた火山で、この山が古富士火山である。その後 1万年前に再び火山活動が活発化して古富士火山の上を覆って新しい火山が出現した、これが新富士火山で現在の富士山である。 左右対称の美しい円錐形の山体が形成されたのもこの時と思われる。 過去、富士山の噴火は山頂からだけではなく側火山の噴火もあり、山体の各所で噴火していた、また噴火の形態も大量の岩石やスコリア、火山灰を上空に噴き上げるブリニ―式噴火や山体の割れ目から溶岩を噴出する割目噴火、噴火を伴わない山体崩壊など大規模な活動が多かった。 歴史時代以降の大きな 噴火は、869年(貞観11年)の東北大地震の前の 864年に発生した貞観噴火。 山の北西面に長さ 6㎞ に亘る割れ目噴火が発生して 1.4 km3 もの多量の溶岩を流して現在の青木ヶ原を作った。 1707年に起きた宝永噴火では 0.7km3 もの大量の火山灰と黒色のスコリア、白色の軽石を噴出、南関東に大きな被害を齎した。 当時、この地域を支配していた小田原藩は被害を救済しきれず止む無く領地を幕府に返上している。... 2011年の東北地方大震災から今年で 9年を経たが、今のところ富士山に大規模噴火の兆しはない。しかし、宝永の噴火以来300年を経た現在、富士山地下には大量のマグマが滞留していて何時噴火してもおかしくない状況下にあると云う。富士山周辺の GPS (全世界の測位システム)の測定結果では 2011年以降は地下地盤が東西方向に伸長しているコトも分かっている。 このような状況下、もし将来、富士山の地下で火山性微動が発生したときは注意信号である。 ... さて、仮に噴火が有った場合、噴火の規模や気象条件にも依るがが、風下の関東では山灰が降り注ぐと辺りの空気も濁って来る、くれぐれもマスクの買い置きは忘れずに。

参考書 :
鎌田浩毅   日本の地下で何が起きているのか  岩波書店
巽 好幸   富士山はなぜ日本一高いのか巨大火山が並ぶ富士火山帯  巽氏の論考より 

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