共生か 絶滅か?

 関東では2020年の初め頃より流行し始めたコロナ禍、4月をピークに今 その第一波を終えようとしている。 今日5月20日時点の数字では世界の感染者は490万人、死亡者は32万人、内 回復者は190万人、これが流行発生から凡そ半年間の動静である。 今ではこのコロナウイルスは全世界に拡散してしまったが、それは大勢の人間が広域に移動するのが主原因と云う。 また、人口が増加するに従い 人間が森林や山地を開拓して自然を破壊し進出した結果、ウイルスを媒介する野生動物と人間とが接近する機会が増えたコトもウイルス拡散の大きな原因になっている。 スペイン風邪の流行った1928~1930年頃の世界の人口は凡そ15億人、これが100年後の現在では推定だが77億人。 因みに14世紀にはヨーロッパでペストが蔓延したが、感染範囲は局地的で人の行き来の少ない他の大陸にまで影響が広がることは無かった。


 病原菌の元である微生物には ① ウイルス、② 細菌、③ 真菌の三つがある。 病名で云えば、ウイルスにはインフルエンザ・ウイルスやノロウイルス、HIV 等があり、細菌には大腸菌、結核菌、コレラ菌、ブドウ状球菌等が、真菌(カビ)にはカンジダ、白癬菌等がある。...そのウイルスの大きさは100 ㎚ ⇒ 1万分の1㎜、細菌では大腸菌は 0.4㎛ ⇒ 1千分の4㎜、因みに花粉は 40㎛ ⇒ 百分の4㎜、ウイルスが如何に小さく、空気中を漂って動物に接近して感染する理由が良く分ろうと云うもの。 ウイルスの正体は生物であり、また非生物でもある。 細菌と違うのはウイルスは、遺伝子を持つが自己増殖が出来ない為に動物に接触したり空気中を漂ったりして口や鼻から体内に侵入して人の細胞や血液の中で増殖する、これが感染である。現在 人類が把握しているウイルスの数は6種類 (4種類は風邪のインフルエンザ・ウイルス、他はSARSとMERS)今回の新型ウイルスで 7種類目となる。... 厄介なことにウイルスを病として捉える限りは治療薬やワクチンが出來てきても、将来また新しいウイルスが出現してくる。... ウイルスを地球上から駆逐するコトなど絶対に不可能。 彼らの方が人類よりも早く、36億年前には地球に住み着いていた、人類と同一先祖を持つ類人猿が出現したのは今から 4500万年前、だが彼の頭蓋骨の化石には既にボルナウイルスの痕跡が刻まれていた。 ... 一方、今回のコロナ禍を 戦争 と表現した人がいたが、実は人類とウイルスは、過去に或る時には戦い また共生もしてきた。もし共生となれば、或いは今回のウイルスも将来的には普通のインフルエンザ程度に収まって行く可能性も...。


地球上に 最初に出現した新しい生命は、有機物と水と適度の温度の下で誕生した, 38億年前のコトである。ここで云う有機物とはアミノ酸由来のたんぱく質のこと。... 人類よりも古く30億年も前から地球上に住むウイルス、彼らの生体を構成する核酸は DNAであってもRNAであっても共にタンパク質。その 核酸を取り囲む殻のカプシドもまたタンパク質。 今地球上に住む全ての生き物は何れも枝分かれと進化を繰り返した結果、現在の様な形になった。,,,すべての生物は本来 共に地球上で生まれ育った仲間ではあるが、現実にはそれぞれの生物は自らの種の生き残りをかけて時には共生もしながら、また時には戦い、更には 同じ種の中でも個同士が激しく争い、最後には相手を倒して勝ち残ったものだけが生き延びてきた。... 人とウイルスの関係も勿論、自然と生物の関係も、 他の多くの生物同士の関係も、所詮は自己の生き残りをかけた戦いであった。反面 敗れた側は淘汰されて消えていった。

 記録に残る顕生代での5度に亘る生物の大量絶、実はその他にも若干規模の小さい絶滅が数回 有った様だが...。そのうち記録に残る方の大事件の1度目は、古生代のオルドビス紀末(4億 4400万年前)に起きた大量絶滅。 このときは三葉虫、オウムガイ、コノドント等、当時生息していた生物種の 85%が絶滅、原因は寒冷化と海水準の低下だったと云う。 その2は、デボン紀末の後期(3億7500万年前)で造礁性生物、板皮類魚類、三葉虫等 85% の生物種が絶滅、原因は前回同様と云う。 その3はペルム紀の末(2億5200万年前)で古生代型サンゴ、腕足類のサンゴ等 生物種の 90%が雑滅している、原因は大規模火山活動と超酸素欠乏に依るもの。 その4は、中生代の三畳紀末(2億年前)で主な絶滅生物は哺乳類型爬虫類、アンモナイト、二枚貝等で、絶滅率は60%、但し原因は不明。 最終のその5は、白亜紀末(6500万年前)で竜盤類恐竜、鳥盤竜恐竜、アンモナイト等が絶滅、絶滅率は60%、原因は巨大隕石の衝突だった。...幸いにもその後の新生代第三紀以降には 未だ大量絶滅は無い、何としても次のその6が人類の滅亡であってはならない。

 過去の生物大絶滅の原因には分からないことが多かった、最近では研究が進み地球深部のプルームテクトニクスや古代に起きた大陸移動等を基に、巨大火山活動や寒冷化の原因はむしろ地球内部にあったのではという研究が進み、他にも宇宙線の強弱、地球磁場の動きをも含めた全地球的現象から 生物の大絶滅の原因を解明しようという主張があり、世界各地で新しい視点からこの問題を解明しようという動きが出ている、大いに期待したい。 ... 現在は、地球や自然が原因の生物大量絶滅だけでなく、人間が他の生物を絶滅に追い込んでいるコトも問題。 人間が追い込みつつある生物の絶滅危惧種の数は世界では 28,338種、そのうち日本は 3,732種。 原因は人間による開発、農薬、乱獲、温暖化などである。この為に 危惧種の内の幾つかは毎年 確実に絶滅して地球上から消えている。... 人間をも含めて、生物界は今 相手を滅ぼすのか、共生するのか、大事な分かれ目に差し掛かっている。 既に細菌は人間の作った抗生物質に対して耐性を持ちつつある。将来的には耐性を持ったウイルスが出て来るコトだって無い話ではない。 ... そう、人間が生物界でトップの座を占めていられるのは何時までなんだろう....。

 参考書  :
磯崎行雄  「大量絶滅」を乗り越えて来た生命進化   ヘルシスト211














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