地震への恐怖

 地震国ニッポンではあるが、それにしても最近の全国各地での小規模地震の多発は気になる。 特に最近の東京湾周辺での震度1程度の微小地震、それに本州中央部の上高地や長野・岐阜の県境付近での連続地震。南九州の東シナ海側での震度4などだ。 ... これは日本列島にひずみが溜まった結果 齎されたものと思うが専門家による総合的な説明はない。 私も国土地理院のGPS観測から電子基準点の動きを眺めてみたが特に大きな動きは見当たらなかった。 ... だが、個別には地震の専門家の意見もいろいろ出ている。 例えば、あれは 東北地方太平洋地震の余震だ、東南海沖大地震の前触れかも、首都圏直下型大地震に留意を、富士山の大噴火は時間の問題 etc...と、何と緊迫感の乏しい発言ばかり。 だが、この内の全てが何時来てもおかしくない災害なので聞き捨てにして置く訳にもいかない。


 まずは関東平野。 1万7千km2 にも及ぶこの広い平野は、北米プレートという陸のプレート上にあるが、もう一つ 一部を除きフォッサマグナの地域内にある。 その為か平野の地下構造は複雑で、盆状になった基盤岩の下20~30km にはフィリピン海プレートがあり、更にその下には層厚の太平洋プレートが潜り込んでいる。 従って、この地域の地震は三つのプレートそれぞれの内部で発生する場合と、プレート同士が接触する場所で発生する地震がある。一般的に震源が浅い場合は被害が大きく、深い場合は広域の地震になるが、これは常識。 最近は首都圏の直下型地震の震源は地下20~30kmと、比較的に浅い地点が震源になる可能性が指摘されている。 ... 他に、最近の新聞報道では、東京湾北部で2020年4月20日前後の48時間に震度1以上の地震が7回発生、震源は何れも深さ20~40km の地点だったと云う。また 6月初旬には三浦半島一帯で原因不明の異臭が発生、原因が船舶事故でないとすれば異臭は地下深部で地殻同士が擦れ合って発生した可能性もあるとのコト。 もしこれが事実とすれば、異臭は首都圏直下型地震の前触れだったコトになる。


 関東各地には過去に活動し、現在も災害の痕跡を残す活断層が多数現存する。 その内の幾つかを挙げると、第1は 関東平野の中央部を縦断する深谷断層と綾瀬川断層であろう。 この断層は北関東北西部の安中から高崎、草加、川口の各市を経て行徳から東京湾に入る優に長さ100㎞ にも及ぶ長大な断層である。 また東京の西方には立川断層があり、神奈川県西方には伊勢原断層、関東大震災に繋がる国府津松田断層があって、三浦半島には3本の断層帯がある、更に東京湾の海底には1922年に浦賀水道沖でM6 の地震を起こした海底断層もある。その他にも まだまだ関東平野やその周辺海域には未知の活断層幾が数多伏在している筈だ。


 上高地周辺と長野・岐阜県境付近の地震。 この地震はフォッサマグナ(糸魚川~静岡構造線)由来の単発地震なのか、或いは本州全体の歪みを訂正する為の地震なのか、よく分からない。岐阜県側でも遠く高山付近にまで影響が及んでいるようだが、そうかと云って北アルプスの山々の標高が高くなった様子も無ければ、北アの薬師岳西方より発する活発な跡津川断層が動いたと云う話もない。梓川下流の松本付近の断層も今のところ動いてない。この地震、専門家による解説や結論が出るのはもっと先のことだろう。 ... それでも今、上高地からは揺れるたびに北アルプスの山々で落石や雪崩が多発しているのが望見できるという。 ならばその奥の穂高のジャンルダム付近の劣化した閃緑岩の板状の大岩壁は大丈夫なのか、岐阜県側に越えて一寸わき道に入った所にある秘所・オルドビス紀の化石の観察できる崖も崩れないでいて欲しい、私事だが また訪れる日まで残っていてと祈るばかりだ。


 さて、フォッサマグナの南端に位置する富士山。過去、記録に残る富士山の大噴火は3回、その内の後の2回は864年の貞観噴火と1707年(宝永4年)の宝永噴火である。 864年の富士山噴火は東北地方で発生した貞観大地震・大津波の5年前に起きている。 一方、江戸のみならず南関東一円に被害をもたらしたのが宝永の大噴火。 では次の4回目の大噴火は何時?... 前回の江戸時代の宝永の大噴火以来 既に300年を経た、ならば玄武岩溶岩のマグマは富士山の地下深くに大量に溜まっているはず。...もう何時噴火してもおかしくない状態なのだろう。... 貞観の大噴火は山の北側斜面の複数個所から溶岩を噴出して流下し、現在の富士五湖と樹海を作った。 宝永の噴火は同じ五合目付近の山の東北東の側から噴煙を噴き上げるブリニー式噴火で始まり、2週間にわたり南関東一円に約17億m3 の噴出物をまき散らして終わった。 いま、関東に同様の噴火が発生すれば通信・交通のインフラは壊滅的な打撃を受けるとされている。 ... この富士山は日本では唯一の玄武岩溶岩の火山、現在の富士山の中には三つの古い火山が内包されており、現在の富士山は実は 4代目の新富士火山。このうち3代目の古富士火山と4代目の新富士火山が玄武岩溶岩の火山で、他のより古い二つの火山は安山岩溶岩の火山である。理由は未だ分かってない。 ... 秀麗なる富士の山、だが目を離せない火山でもある。


 参考書 :

藤岡換太郎   フォッサマグナ         講談社

鎌田浩毅   日本の地下で何が起きているのか  岩波書店