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<<   作成日時 : 2016/12/30 16:27   >>

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 日本の伝統芸能と云えば中世では能楽と狂言、近世では人形浄瑠璃と歌舞伎であろう。 これ等の伝統芸能は今では何れも無形文化財となり、夫々が専用施設、能楽場、国立演芸場、文楽劇場、国立劇場等を持ち、国の保護を受けている。 ... 今回は故あって人形浄瑠璃の経緯をたどってみたい...。 人形浄瑠璃文楽は 2009年にユネスコの無形文化財にも登録された。 浄瑠璃モノは 15世紀 室町時代の中期に京で流行った 「浄瑠璃姫物語」 の浄瑠璃部分を引き継いだもので、以後この種の語り物は京でも江戸でも全て 「浄瑠璃」 と呼ばれる様になる。

 人形浄瑠璃は中世の諸芸能の内、猿楽と田楽以外の 「雑芸能」 を基に生まれた芸能である。 雑芸能とは、例えば千秋万歳、傀儡師、アルキ巫女、説教師、放下師 等々...、であり、大道芸、門付け芸でもある。 浄瑠璃を最初に創った人達は、語りの部分は説教師や琵琶法師の節回しに学び、人形遣いの技は傀儡師の芸を見本にして、と云う風に色々と試行錯誤を重ねながら新しい芸を生み出していった。 従って人形浄瑠璃は、これら中世の民衆雑芸能を土台にして生み出された新しい芸能であり、人形遣いと三味線の弾き手と語り手の大夫の三者で構成された演芸であった。 また 芸自体も少人数の芸人が各戸を回って見せる放浪芸から、16世紀後半には観客を一ヵ所に集めて見せる舞台芸能へと成長していく。

 江戸時代の16世紀後半には、芸の幅も広がり浄瑠璃の語り手と三味線の弾き手が別々になったり、人形遣いがメインの主遣いと、脇役の左遣い、足遣いの三者に分かれたりしている。 続く 17世紀には人形浄瑠璃の世界に更なる変化が起きる。 画期的だったのは、劇作家の近松門左衛門の登場と浄瑠璃語り手の竹本儀大夫の登場である。 この時以降、浄瑠璃の出し物は次第に増えて 17〜18世紀には 「出世景清」・「曽根埼心中」 が大当たりして興行的にも成功した。 しかし、その後 浄瑠璃は衰退へと向かう。 だが、19世紀に至りこれを再び立て直したのが興行師の植村文楽軒だった。 その後は 「文楽」 と云う名前自体が人形浄瑠璃の代名詞となり現在に至っている。

 17世紀の頃、まだまだ低かった人形浄瑠璃の社会的地位を向上させたのは宇治加賀掾である。 後の竹本議太夫や近松門左衛門も共に彼の下で修業し独立して成功した人達である。 加賀掾は、弟子たちに対しても未だに地位の低い浄瑠璃界には人に教える程の人物はいない、先ずは洗練された猿楽の謡曲を学べと諭し、自らも都人の嗜好に合った優雅な浄瑠璃を目指して研鑽した。 浄瑠璃が市民権を得たのは、大阪に竹本義太夫が竹本座を興し、興行に成功を収めてからである。 また、当時は台本の執筆者も地位が低く作品に作者名を記せなかったが、竹本義太夫と組んだ近松門左衛門は広い知識と深い教養を基に作品を次々と書き上げ、作品には作者名を明記し自らの作品を後世に残した。

 浄瑠璃は、江戸では 1717年に江戸太夫河東が創始した河東節が最初である。 大阪では1686年頃、竹本議太夫が始めた義太夫節が市中で人気を博し、京都では1700年頃に都太夫一中が浄瑠璃各派の長所を取り入れて一中節を創始、後に江戸に進出している。 1730年頃には宮古路太夫 (豊後の掾) が京都で豊後節を創設し江戸に出て成功したが、1739年に唄を禁止され消滅した。 浄瑠璃は元禄の頃より歌舞伎にも採用される様になり、語り物音楽として更に成長した。 その頃、演奏を禁止された豊後節から,、江戸では常磐津節、清元節、新内節などが、京都では薗八節 (そのはち...) が新しく生まれてた。 16世紀から 19世紀に掛けて急成長した浄瑠璃は、内容的には語り物が主役だった時代から 唄う場面が多い時代へと軸足を広げて行くが、その裏では多くの流派が生まれては消えて行った。

 今なお意欲的に活躍している浄瑠璃に清元節がある。 江戸浄瑠璃では後発の清元節だが特徴は、甲高い裏声を伸ばしながら節に変化を付ける粋な手法で唄い上げる技にあると聞いた。 ...私がお世話になった昭和時代の人間国宝の清元志寿太夫さんは、暑い夏の時期には黒部に逗留して深山幽谷に向けて謡い、声の調整をしていると聞いたことがある。 功成り名を遂げ然も ご高齢であるにも拘らず日々研鑽に励む心意気には唯々頭の下がる思いだった。

 参考書 :
釣谷真弓     日本音楽史    東京堂出版
JR東海生涯学習財団  講座歴史の歩き方  近松心中

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