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zoom RSS 琵琶と弁才天の話

<<   作成日時 : 2017/03/15 18:04   >>

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 冬晴れの一日、東京上野の東照宮境内で薩摩琵琶の演奏を聴く。 参拝客や外人観光客がカメラを手に行きかう道の直ぐ脇の会場では、敦盛や黒田節....、が演奏されていた。 私にとっては、最後の琵琶法師と云われた山鹿良之さんの 「俊徳丸」 を C D で聴いて以来の琵琶の音であった。 弦をはじいて音を出す琵琶の音色は独特の澄んだ響きと余韻が何とも素晴らしい。 8 世紀の唐の詩人白居易は、琵琶の音色を叙事詩 「琵琶行」 の中で 「大珠小珠落玉盤 ⇒ 琵琶の音は沢山の真珠が大皿に散らばり落ちる音に聞こえる」 と詠んだ。 ... 後年、芭蕉は野ざらし紀行の旅の途次、大垣の如行宅の句会で琵琶の音を聞き、 「琵琶行の夜や三味線の音霰 (あられ) 、⇒ 座敷の三味線の音と降り始めた霰 (あられ) の撥ねる音が和して程よく聞こえる、まるで白居易の琵琶行の詩の様だ...」 と詠んだ。

 琵琶は柱 (じゅう ⇒ フラット) の上、或いは柱と柱の間を指で押さえて撥 (ばち) で弦をはじいて音を出す楽器である。 奏法には @ 複数の弦を鳴らすアルペジオ奏法、A 全ての弦を叩く様に弾く掻撥奏法 (かきばち)、B 二弦づつ鳴らす割り撥奏法など色々な弾き方がある。 勿論、楽器も高価で百万円前後は常識。 ... 雅楽の管弦楽 (オーケストラ) は、竜笛、笙、太鼓など 8 種類の楽器で構成されるが、その中には 筝と並んで琵琶も入る。 琵琶は 1200 年も前から 雅楽の伴奏楽器として重要な役割を果たして来た。 一般には、琵琶と云うと平家琵琶や蝉丸の孤独の琵琶演奏を連想するが、実は奈良時代以降 より広範な分野で独奏や合奏を演じて皆に親しまれてきた楽器なのである。

 琵琶の発祥地は通説では西アジアのペルシャ、現在のイランである。 日本に齎された琵琶は、スペインのギターと並んで 西アジア発の リュート楽器の一つである。 正倉院に残る五弦の琵琶はインドから亀茲国を経て日本に来たが、奈良時代以降 中国大陸経由で入って来た琵琶は 四弦である。 そんな中、遣唐使が持ち帰った琵琶は雅楽で使われ、交易で齎された琵琶は後の荒神琵琶や平家琵琶のルーツになる。 その後 琵琶は、国内で使い易い様に形も仕掛けも利用法も少しづつ改良されて和製の琵琶に生ま変わる。 弦は絹糸、鋼線など、柱 (フラット)は五柱、四柱、多柱など、奏法は押さえるところを、撥は用途に応じて等々...、と改良された。 この結果、日本の琵琶は日本流に大きく進化した。

 BC 2000年の頃、アーリア人は西アジアのイラン高原から民族移動をして今のインドに着いた、そこで彼等は生活の水を与えてくれる川の神をサラスヴァティーと呼び守護神とした。 これがヒンズー教の始まりである。 後年、サラスヴァティーの水の神は音楽の神となりヒンズー教の神となる。 このサラスヴァティーを漢訳したのが 「弁才天」 である。 日本では七福神の中の弁才天も 江の島の弁才天も琵琶を抱えた音楽の神である。 過日、江の島の友人に弁才天の琵琶の弦の数を問い合わせた所、直ぐに 4本とメールがきた、有難いコトである。 弦が 4本なら唐を経由してきた琵琶の系統である。 また弁才天には水の神としての別の顔もある。 鎌倉の銭洗い弁天、琵琶湖の竹生島や厳島の弁才天は何れも水の神としての弁才天である。

 13 世紀に描かれた一遍上人の聖絵には琵琶を持った人物が数人も 描かれている。 この琵琶と同じリュート楽器の三味線が明国を経由して琉球に入り、次いで大阪の堺の港に入ったのは16 世紀。 先に日本に入っていた琵琶は、三味線が入るまでの 800 年間、国内では唯一の撥弦楽器として活躍していた。 所が、後から入って来た三味線は当初、これを手で弾くのか、弓で弾くのか弾き方が良く分からなかった。 その時、三味線を楽器として最初に取り上げたのは琵琶弾きの人達だった、彼らは三味線を琵琶と同じ様に撥で弾く楽器に創り上げていく。 ... 一歩間違えば、三味線は中国楽器の二胡の様に弓で弾く楽器になっていた可能性もあった。 何故なら 二胡の函部分の表皮にはニシキヘビの皮を使うが、三味線も当初はニシキヘビの皮を使っていたからである。 ..三味線の函部分の皮が猫に変わったのはズーット 後のコトである。

 参考書 :
釣谷真弓   日本音楽史   東京堂出版
北川鶴昇   琵琶盛衰記    風詠社

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