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zoom RSS 悪党?

<<   作成日時 : 2017/06/30 21:55   >>

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 「悪党」 で検索すると角川文庫本の悪党や 劇団 ZA-KOENJI の悪党が出てくる。 遡れば 江戸時代には大盗賊を始め 悪代官、悪女、小悪党などと諸悪は山ほど有った。 だが、広辞苑の 「あくとう」 の項の A には 悪党は 「中世語」 とあり、荘園内の反領主的荘民と特定している。 悪党の悪は儒教的な意味での悪ではなく、単に対峙した一方が相手を指弾する時に用いる用語だった。... 実際に平安時代から鎌倉時代に掛けては、悪党に関する荘園の土地問題や武力行使に対する訴えが多かったが、後には一族間での相続争いや荘園内部での役職間の勢力争いの訴訟が増えている。 特に一般農地が荘園化される過程では多くの中小領主が犠牲になったが、これに対して地頭や新興の武士階級は各地で武力でもって年貢の納入を拒否して抵抗した。 時代は、この連中を悪党と呼んだが強盗や盗賊の悪とは意味が違った。 後の応仁の乱を戦った傭兵の足軽兵は、行き場を失った近畿周辺の悪党の末裔である。 ... 「悪党」 に関しては近年、史的研究が進み多くの論文が発表されいる。

 悪党が各地で問題を起こすのは 8世紀以降のコト、直接の原因は荘園の利権を巡っての抗争である。 7世紀に創られた律令制には @ 豪族の土地私有の廃止、A 班田の収受制 等が盛られていたが、8世紀には 「墾田永年私財法」 が公布され、新規の開拓地等の私有が認められた。 するとこれを機にと、裕福な中央の貴族や大寺社、地方の豪族たちは競って良好な農地の囲い込みを図り直属地を増やした。 次の政権の鎌倉幕府は、徴税権や警察権を持つ地頭を全国に派遣して支配を強化したので必然、荘園領主との摩擦は増えた。 戦乱が多発した室町時代には、荘園への課税と引替えに守護大名が警備を負担したので 14〜15 世紀中の荘園経営は一応の安定をみた。 この間は荘園内での一揆や土一揆には守護大名と荘園領主が協力してこれを鎮圧している。 ... そんな悪党問題も荘園問題も 16 世紀に入り豊臣政権が実施した太閤検地により全て解消した。 その結果、一つの土地には 実際に耕作をする一人の農民のみが認められる様になる。 悪党と荘園の解消には何と 800年の年月を要した。

 荘園とは一口で云えば、公的支配を受けない私的所有、私的経営の土地のコト。 時代が進むに従い、荘園は自墾地荘園と納税忌避の為に中央の有力者に荘地を名目上寄進したコトにする寄進地荘園に分かれて発展していく、だが 荘園の私有地化が中世社会に齎した歪みは大きく不満分子は増加していった、悪党はこの様な土壌の下に発生した。 通常、荘園に係わる関係者は、先ず土地の所有者がいて、次いでその耕作者、管理を請け負う荘官、その上には朝廷から派遣された国司、幕府から派遣された地頭等がいた。 ... しかも鎌倉時代から南北朝時代に掛けては朝廷と幕府が土地所有に関する認可権を巡って対立していた。 鎌倉時代に起きた承久の変も南北朝の争いも根本は土地所有に関する認可権を巡る主導権争いだった。

 「検断」という言葉があった。 検断とは中世に存在した独自の治安維持機能のコトで、犯罪者の逮捕や処罰を行う為の機関だった。 だが、平安時代には下部官庁の国衙に押領使・追補使が置かれていたが、実態は地元の有力者で世襲の役職だったので、殆ど機能していなかった。 ...なのに、如何いう訳か国衙の機能の及ばない地域で事件は起きていた。 鎌倉時代には中央の貴族や寺社が経営する大規模荘園では、荘園領主が独自の判断で検断を実施し、同様に地域の領主も地頭も検断を実施し、これに倣って自治の住民や百姓も独自に検断を行っていた。 だが後ろ盾のいる本当の大物悪党の処置には手を焼いていた。

 悪党を利用した面々...? 悪党に対峙する体制は時代ごとに異なる。 現代の近代国家では警察や検察が主体となって治安維持に当たるが、 奈良時代から江戸時代までは、朝廷や幕府はあっても司法や治安の確保は彼等にとっては 権利であって、民への義務ではなかった。 その為か、荘園を守る為と称して積極的に在地の悪党を召し抱えて利用する面々もいた。 文献に載る人には、京や高野山の名刹の醍醐寺座主の定済、金剛寺院主 清弘、後醍醐天皇、大覚寺僧正 道我、等々、史上超一流のメンバーが夫々に悪党と係わっていたコトが分かってきた。 ...最近では後醍醐天皇と悪党の楠木正成を結びつけたのは、醍醐寺僧正で内大臣だった道祐ではとされている。 正成自体は河内の大土豪であり、河内・和泉の守護でもあった。 ... 結局は、悪党も悪党に対峙する勢力も内容的には同質の人間同士であり、誰が正義で誰が本当の悪党かと見分けも付かない程に中世は混沌としていた。

 参考書 :
西田友広   悪党召し捕りの中世   吉川弘文館

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