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zoom RSS 超高齢化の波

<<   作成日時 : 2017/07/15 06:59   >>

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 私が子供の頃の もう何十年も前の話だが近所に当時としては珍しい 90才過ぎの老婆がいた。 日中は杖を突き周辺を散歩するほど元気な老人で 人と会えば愛想よく挨拶もしていた。 だがその老婆が、散歩の途中で近所の家に立ち寄ると決まってどこの家でも大人達は皆 居留守を使った。 当時は、近所の人が来れば縁側で茶を出して話のお相手をするのが普通だったので、来られる側は昼間の忙しい時間帯に暇な老人が来て長時間 話し込まれては家の片付けも掃除も出来ないと止む無く居留守を使っていた。 一方の老婆の方は、長生きをし過ぎたのか同世代の話し相手は既に無く、新しい相手を求めて近所の家を順に訪問していた。  そのお婆さん、訪問先では大声で嫁さんの悪口を言うので、話を聞かされる側の大人達は皆 閉口していた。 一方の子供たちも親たちに倣ってか お婆さんが近づいて来ると皆ワーッと散ってしまうので、老婆はその場に立ちすくむと、やがて寂しげに立ち去ったものだ。 ... 孤独な老人は、いつも世間から この様にあしらわれていた。

 「わが心なぐさめかねつ更科や、をばすて山に照る月をみて ⇒ 大和物語 」 ... 昔から信州に来て姨捨を詠んだ歌は多い、直ぐ浮かぶのは 野ざらし紀行に載る芭蕉の句や、万葉集に載る歌だが、10世紀に編纂された大和物語に載る歌や説話も 後の日本文学に与えた影響は大きい。 中世の能 「姨捨」 を始め、昭和以降では深沢七郎の 「 楢山節考」、小池真理子の 「姥捨ての街」、山本昌代の 「デンデラ野」 がよく知られる。 ... 日本には風習としての 「姨捨」 は存在しなかった様だが、姨捨伝説は様々な形で各地に残る。 最近では定年制も社会的姨捨の一種と云う人もいるが、多発するマンションの一室での 「孤独死」 なども 元を糺せば姨捨と根は同じかも知れない。

 老人は昔から、生産以上に消費する人として常に敬遠されてきた。 所が近年は、どこの国の老人も高栄養化と充実した医療、便利な生活基盤やインフラの整備に恵まれて、長生きする老人が急増している。 今では80才位まで仕事を頑張る人がいる半面、元気に趣味に参加する人も多い。 ... 隠棲文学である徒然草 151段で兼好は 或る人曰くとして、「五十になるまで上手と至らざらん芸をば励み習うべき行く末もなし 」 (50才になっても身につかない様な芸は早くやめた方がよい、どんなに努力したって将来性など無いのだから...)、と書いた。 平均寿命が僅かに 31才だった この南北朝時代にあっても、運よく50才まで長生き出来た隠居老人が色々な趣味・芸事に打ち込んでいた様子が良く分かる。 現代でも平日の観劇を始め 博物館行事や習い事など...、観客や受講者の殆どは元気な老人連と云うのが実情だ。 だが、何れはこのカラ元気の老人達もある時期を過ぎれば疎まれて棄老の対象となる。 お国では形だけでもと 「高齢者虐待防止法」 を制定したが知る人は少ない。

 今や世界は先進国も中進国も揃って、これまでの高齢化社会を越えて 「超高齢化社会」 を迎えようとしている。 其処には「コトブキ」 どころか、多くの難問が山積している。 例えばその @ は病院や医師の対応能力を超える老年層の急増であり、A 福祉を支える若年層の減少と社会保障費の増加、B 更には国家は果たして社会保障費の急増にどこまで耐え得るのか 等々...、未知の難問は数え上げればキリが無い、だが当面は有効な対策もない。 ... 高齢化社会が進行するコトは生産年齢の減少と裏腹の関係にある。 この状態は国力の低下を招き、相対的に他の国に後れを取るコトを意味する。 ...更に 個人レベルでは、宗教は死ねば相手にしてくれるが老齢の状態ではとり合ってはくれない。 また現政権の超低利政策下では、長生きすればする程に千万円単位の預金利息では家計には不足であり、元金を食いつぶして余生を粛々と生き延びるほか術はない。

 日本の後を追い やがては老大国に陥る米国や中国は、日本がどの様にして高齢化問題を乗り越えてビジネス・チャンスに変えて行くのかを注視している。 最近 の中国の英字紙 新華僑報は、日本の自然環境、社会の充実、医療の補償制度等は対外的には PRの好材料になっているが、更に加えて日本は高齢者介護という新しい産業を興して介護分野の輸出を促進しようとしていると報じ、北京商報紙は、日本では高齢者問題は深刻であるが 介護制度をより充実させるコトにより介護を新しい産業の柱とし、また高齢者を消費者と見做すコトにより新たなビジネス・チャンスを創出していると報じている。 ...だが一方で、日本では高齢者犯罪が増加しており、その原因は低貯蓄、低年金、孤独感にあるとし、中国の場合も一人っ子政策の結果 一人の子供が親の老後を看るコトは困難であり、これから高齢化が進む中国にとっても 日本の高齢者犯罪の増加は他人事ではないと報じている。

 参考書 :
守屋慶子  中高年期からの心理的発達   論文集より

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