八丈島の魅力

 蒼い海に浮かぶ八丈島、...船は一路 流れの速い黒瀬川を横切り八丈を目指した。 黒瀬川とは島言葉で黒潮のコト、...台湾沖から九州・伊豆七島海域を北上する 流速 4ノット≒ 7.4 km/h、幅100km もの日本海流を指す。 ...八丈島はフィリピン海プレートの伊豆・小笠原弧の上にあり、東京から 300 kmの南の海に浮かぶ面積 70 k㎡ の火山島である。 ... そのフィリピン海プレートは今なお 北上中であり、単純計算では 200万年後には八丈島を含む八丈地塊は本州の東端に衝突し始め、何れは本土と地続きとなる。

 1962年(S34年) 島の東部で土器や石器が発見された、湯浜遺跡である。 アカホヤ灰 (6500年前)の層とほぼ同時代の層から出土したので縄文前期の遺跡とされた。 当時、発掘に携わった明治大学の杉原教授は、出土品は本土の縄文文化とは様相が異なるので出自系統は不明としたが、一方で南方からの渡来の可能性は否定しなかった。 ...古代人は南洋諸島から潮流に乗って来たか、或いは 世界の海水準が今よりも 130 mも低かった氷期に本州から島伝いに渡って来たかの何れかである。 ...また海水準が低かったとすれば、八丈はじめ伊豆七島周辺の海底には より古い時代の遺跡が眠っている可能性もある。 例えば、もっと北方の神津島沖の恩馳島 (おんはせ...) の海底 には縄文時代に採掘した黒曜石の鉱床跡が眠っている。 ...八丈島は奈良時代には伊豆国に属し、室町時代には関東管領の統治下に置かれ、現在は東京都に属する。

 ひょうたんの形をした八丈島の西部には八丈富士 (854m)が聳え、東部には東山 (701m) がある。 何れも火山であり、住民9千人は両火山の中間部と東山の周囲に集中して住む。 ... 円錐形の八丈富士は数千年前以降に活動し始めた新しい火山で、山頂には直径数百mの火口跡がある。 八丈富士は伊豆七島の最高峰で、最終噴火は17世紀初めだった。 ...一方の東山は、約10万年前から 3700年前まで活動していた活火山だが、有史以降の噴火記録は無い。 島の東側の石積ヶ鼻の崖を40m程降りると この東山(火山)を構成する四層の玄武岩の層を観察できる、海際では捕獲結晶の赤色の灰長石も見つかるから楽しい。 ...この両火山の中間の低地には20ヵ所もの寄生火山があり、此処では火山島を実感できる。 ... 気象庁の火山活動ランクでは、八丈島火山は現在 静穏の Cランクにある。

 島に来て気になるコトは、この島の始祖伝説、...丹那婆 (たなば) に纏わる大津波伝説である。 .. .曰 く、大昔 島が大津波に襲われ島民は悉く流されて全滅した、だが幸いにも妊娠中の若かりし丹那婆が唯一人助かり 後に母子交会の結果、子孫が次々に増えていったと云う言伝えだ。 ...母子交会の伝説は、日本本土には例が無いが、 南太平洋の島々では広く伝承されている逸話である。... この伝説に関して、我々が関心を持つのは島が洗われる程の大津波に襲われたと云う部分である。

 伊豆・小笠原弧の生成については、1950年代以降 海洋科学技術センターにより海底下の地質調査が行われ逐一その成果が公表されている。 それに依れば、伊豆・小笠原弧は東方からの太平洋プレートの沈み込みにより 約4000万年前に海底火山の列として誕生し、3400万年前迄に島弧に成長したとある。 八丈島はその島弧上の海上に突き出た孤島である。 ...そうであれば海底地殻の変動が激しいこの孤島の、八丈島の大津波伝説を否定するコトは出来ない、長い間には再来も充分に有り得る話である。 ... 伊豆・小笠原弧の北部地域は伊豆半島から青ヶ島構造線までの範囲であり、八丈島はこの中に入る。 ...今この地域の海水準が 1000m下がったと仮定すると、ここには首都圏くらいの大きな島が出現する。 この海域は日本の経済水域内に在り鉱物や水産資源の採集を考慮すれば、日本にとって最重要の海域である。 ...更に南の小笠原弧では欧米や中国が盛んに海洋調査を進めており、将来的にはフィリッピンをも含めて海洋権益が交錯する地政学上 厳しい海域になる可能性もある。

 八丈島沿岸の生き物、トコブシとタコについて 元都立八丈高校の伊川先生が興味ある本を書いている。 ...曰 く、島の周囲でトコブシの棲息する場所は丸石の連なる海岸であり、トコブシは丸石の裏に2・3個以上、多い時には10個も付着している。 だが相手は逃げ足が速く、水中で素早く捕まえるのがコツと云う。 ... タコは生竹で突き刺して採るが、3貫目 (≒11.3kg) 以上の大タコの捕獲は危険なので注意が必要とある。 海中では、タコは恐ろしい生き物で 時には人の後ろから被さってきて背中の肉を喰いちぎったり、足で人の両腕に巻き付いてきて身体の自由を奪い、水中に引き込み人を殺すコトも往々にして有ると云う。 ...やはり 海は怖いトコロである。

 参考書 :
藤岡換太郎他2名  伊豆・小笠原弧の衝突  有隣堂
伊川光司       茄子の樹          新風舎

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